一般社団法人 日本助産学会

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理事長挨拶

更新日時:2022年4月15日

日本助産学会 理事長 片岡 弥恵子

 

日本助産学会理事長
片岡弥恵子

 

 

 災害や紛争などの非常事態や不安定な情勢の中では、社会における弱者は多大なる影響を受け、より困難な状況に追い込まれます。妊産婦や子ども、女性たちは、Vulnerable(脆弱性)となりやすく、より手厚い支援が必要ですが、支援のネットから抜け落ちてしまう危険をはらんでいます。私たち助産師は、よりきめ細やかで強いネットワークの構築に力を尽くす必要があります。そのためには、研究や実践において多職種、女性たち、そして助産師同士の協働が欠かせません。協働は国内だけとは限りません。国際助産師連盟(International Confederation of Midwives: ICM)との連帯を強め、妊産婦や女性たちの擁護者として、国際的に発言・行動していくことが必須であると考えます。
 さらに、新たな視点で、創造的かつ実行可能な支援を創りだしていくことも課題です。本学会では、委員会に加え、ワーキンググループによる活動を始めました。妊産婦や家族に向けた助産ガイドライン解説版、Abortionケアのベストプラクティスガイドの開発、診療報酬改定に向けた要望書の作成など、沢山の成果をあげております。また、COVID-19感染拡大以降、様々な制約の中、実践の場において助産師は丁寧なケアの提供に努めております。しかし、エビデンスに基づくケア、妊産婦のニーズに則した支援が実施できているのかといった評価を継続的に行う必要もあります。この調査のためのワーキングも新たに立ち上げます。具体的な目標を掲げ、短いスパンで、柔軟性を持って活動できるワーキンググループの活動を今後も推進していきたいと考えております。
 また、社会のニーズに即応できる政策提言ができるような体制づくりも重要です。政策提言のためのエビデンスとなるデータの集積、それを基盤とした政策の立案、実行、評価という循環するプロセスを展開していく必要があります。社会の状況は日々変化しています。さらにその変化は予測がつかない場合も多いのです。しかし、どんな時も“すべての妊産婦、母子に助産師のケアを”という理念を実現するため、変化に対して即応できる力をつけていかなければなりません。個々の助産師、そして学術団体として、その力を最大限発揮できる体制を構築し、政策実現に向けて尽力していきたいと思っております。

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