一般社団法人 日本助産学会

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気候変動対策への助産師の参加(ICM)

更新日時:2023年12月4日

COP28の開催に際し、ICMから気候変動対策を求める公開書簡が出されました。日本助産学会は、このICMの書簡の内容に賛同します。以下、気候変動対策における助産師の役割に関する文書です。助産師のみならず、社会における周知・活動に努めてください。

日本助産学会会員の皆様

助産師専門職団体からの警告:気候変動対策は緊急に必要であり、助産師も参加しなければならない

2023年11月30日
ドバイで開催されているCOP28の開幕にあたり、一般社団法人日本助産学会は、二酸化炭素排出量削減のための断固とした対策を求める緊急呼びかけに署名した世界59の専門職助産師団体のひとつです。国際助産師連盟(ICM)が主催するこの声明は、気候変動の影響は妊娠・出産・産後だけでなく、新生児や幼児にも拡大すると警告しています。
日本の気温は、今世紀末には20世紀末に比べて約4.5℃上昇すると予測されており、これにより熱中症死亡者の増加や熱帯性感染症の蔓延のリスクが高まっています。また、台風や大雨による水害の被害額が増加し、洪水のリスクが倍増すると予測されており、これは社会・経済への大きな打撃につながる可能性があります。助産師としての対応に関しては、気候変動に起因する健康リスクへの教育や啓発、熱中症や感染症対策の知識の提供、災害時の妊婦や新生児のケアなど、地域社会の中で積極的な役割を果たすことが可能です。また、助産師は、地域の適応計画や健康対策に関する政策策定にも参加し、気候変動に関連する健康リスクに対する意識を高めることができます。何が起ころうとも、女性は生殖、妊娠、出産、産後、新生児のケアにおいて助産師のケアが必要です。
国際助産師連盟の最高責任者であるSally Pairman氏は、「助産師主導のケアの継続モデルに投資することは、二酸化炭素排出量を削減する鍵である」と述べています。

具体的には、COP28と日本の政策立案者に対し、以下の措置を講じるよう呼びかける必要があります。
1.気候や災害への対応計画や意思決定の場に助産師を参加させる
2.気候政策に、助産師主導の継続的ケアの持続可能なモデルへの投資が含まれるようにする。
3.「ICM助産の実践範囲」や「基本的助産実践に必須なコンピテンシー」を通して、 助産師がICM助産実践の必須能力の基準に従って自律的に実践できるような環境、リソース、法的枠組みを確保する。
4.化石燃料の採掘と使用を削減し、持続可能なネット・ゼロ・グリーン技術を導入するなど、炭素排出を全体的に削減するための断固とした具体的行動をとる。

助産師はケア提供者として、また女性の性と生殖に関する健康の擁護者として、温暖化する世界の最悪の影響に耐えうる弾力性のある保健システムを設計し、環境的に持続可能な保健サービスを提供する役割を担っています。また、女性や多様なジェンダーの人々が、自分自身、家族、そして地球のために決定を下せるよう支援する重要な役割を担っています。つまり、気候変動活動は、助産師主導の継続的ケアモデルの中に組み込まれているのです。

日本助産学会理事長 片岡弥恵子
 

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